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脳卒中急性期における平均血圧の重要性

脳卒中急性期における平均血圧について分かりやすく説明します。

 

 

脳卒中ガイドラインにおける血圧管理
脳梗塞再発予防:少なくとも140/90mmHg未満
脳出血急性期:SBP180mmHg未満、平均血圧130mmHg未満
高血圧性脳出血:DBP75-90mmHg以下
脳梗塞は安易な降圧治療は行わない
:penumbraの救済するため血流を維持したい、出血性梗塞にならない程度に降圧

②脳自動調節能(Autoregulation)
血圧の変動に対して脳血管が収縮・拡張し、脳血流を一定に保つ機能
平均血圧が高すぎても低すぎても自動調節能が破城する
上限域以上:脳血流は増加、下限域以下:脳血流量は減少
神経系調節+筋原性調節
平均血圧=(SBP-DBP)/3+DBP

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※下限域が上昇するのでわずかな血圧低下(20-30mmHgの低下でも)で脳血流が減少する
※急激な降圧は分水嶺に梗塞を惹起しやすい

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分水嶺の梗塞は側副血行路の障害を惹起→penumbraの救済が遅れる
脳卒中では脳血流量が血圧依存になる
脳潅流圧=平均血圧-頭蓋内圧
脳血流=脳潅流圧/脳血管抵抗

脳卒中では脳浮腫のために頭蓋内圧は上昇する
脳潅流圧=平均血圧-頭蓋内圧なので、平均血圧が一定であれば下がる
脳血管麻痺の状態→血管抵抗は一定なので脳血流(=脳潅流圧/脳血管抵抗)は脳灌流圧、血圧依存性になる
血圧が上がらなければ脳血流は減少し、脳梗塞では虚血が増悪、脳出血では虚血性変化が生じる

脳梗塞における自動調節能の障害期間
脳梗塞
脳主幹動脈領域:30-40日
分枝領域:14日
ラクナ梗塞:4日
TIA:0.5日
脳幹部硬塞:時に100日以上